仕事で求められるスキルについて

診療情報管理士は、患者の治療に関わる情報を扱い、管理する重要な役割を担います。
診療情報管理士として働くうえで求められるスキルとして、まず挙げられるのが医療記録の管理スキルです。
患者の病歴や治療の経過、手術の記録といったさまざまな医療情報の整理や保管を行わなければなりません。
これらの情報は患者の治療に直接影響を与えるため、細部にわたって正確性が要求されるでしょう。

また、電子カルテの操作技術も必須です。
近年の医療現場は紙カルテから電子カルテへの移行が進んでいるため、診療情報管理士は最新のシステムを使いこなす必要があります。
電子カルテシステムの操作をはじめ、データの入力や更新、検索などを行い、医療従事者が必要な情報を迅速に得られるようにサポートするのです。

患者のプライバシー保護も、重要なスキルの一つでしょう。
診療情報管理士は患者の個人情報を扱うため、情報の機密性を守る法律やルールを理解し、遵守することが求められます。
個人情報の適切な取り扱いや情報セキュリティに関する深い知識が必要で、情報を不正に漏らさない厳重な管理が欠かせません。

さらに、診療情報管理士はコーディングスキルも大事です。
患者の診断や治療プロセスを特定のコードに変換する作業で、医療費の計算やデータ分析を行うために使用されます。
正確なコーディングは医療機関の収益管理や統計資料の作成に直結するため、コーディング処理における高度な精度と速度が不可欠です。
医療現場のスムーズな運営に欠かせないコーディングスキルは、専門的な知識と経験が必要となってきます。

医療データを扱うスペシャリスト

「診療情報管理士」という仕事はあまり周知されておらず、一般の人からすると馴染みがないかもしれません。
実際には、大学病院や総合病院には数多くの診療情報管理士が従事し、わたしたちの見えない所で医療に貢献しています。
そんな診療情報管理士たちは、医療機関における情報をデータベースに入力し、作成したデータをもとに統計を出したり、資料を作ったりしています。

診療情報管理士が管理する情報にはさまざまなものが含まれますが、最も多いのが患者のカルテ情報でしょう。
カルテには、患者の状態をはじめ、実際に行った医療処置や検査の内容が記載されています。
診療情報管理士は、そんなカルテの管理やデータベース化を担うことになります。
そのためには担当医師とのコミュニケーションが求められることも多く、時には管理すべき情報の提出をお願いすることもあります。

また、診療情報管理士はカルテの管理だけでなく、患者が退院する時や月一で作成するサマリーと呼ばれる記録の作成も行います。
さらに病院に在籍するそれぞれの医師の状況を調査したり、サマリー作成率の計算およびそれに基づく資料の作成も対応しなければなりません。
作成した資料は、点検報告書として院長にも提出します。

そのほか、がん登録という業務もあります。
がん登録では、罹患した患者の氏名や生年月日などの個人情報と受診した医療機関名、そしてがんと診断された日やがんの種類や進行度などを入力することになります。
情報のIT化が進む医療業界において、データを一括して管理できる診療情報管理士の存在は欠かせないものといえるでしょう。
診療情報管理士という形で医療データを扱うスペシャリストになりたい方は、ぜひ基本的な仕事内容と資格取得方法を確かめてみてください。